仮
「な、なにをしてるんだ！？おい！まて！やめろ！」
妖怪狩りが自らの首を切ろうとしているのだと思い、私は必死で止めた。
「言いたいことはすべて言えた。君も仲間の仇と仲良くはしたくないだろう。だから俺はもうここで死ぬ。君は村に帰れ。俺は君が倒したことにしたらいい。」
たしかに、こいつのことは嫌いだ。村の平和も私の幸せも全部無茶苦茶にした。
でも、でも、私のために自ら死ぬとか、罪悪感とか残るし、気持ち悪いじゃん。
「やめろ、やめてくれ…。私は、人を殺したくないんだ…。」
妖怪狩りは、一瞬だが、驚いたように目を見開いた。その目から、一筋の涙が流れたように見えたのは気のせいかもしれない。
「…そうか。」
そう言って妖怪狩りは私を縛ていた縄をほどいた。そして懐に手を入れた。さっきの出来事がトラウマになっていたからか、一瞬びくっとしてしまう。
「…。おにぎりだ。おなかがすいているだろう。食え。」
私は食べるか少し迷った。こいつからもらったものを食べるのに少し抵抗があった。
「どうした。おなかがすいていないのか？」
「毒とかはいってない…？」
念のため確認してみることにした。
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