排他的に支配しろ
「実際にああしようとしたのは僕っす。謝って済むとは思ってないっすけど……」
そして、深々と頭を下げる。
春日さんが来なければ、あのまま事が進んでいたのだろうか。
来なかったとしても……ルイくんは、止まっていたのではないかと感じる。
「顔……上げてください」
恐怖は当然あったし、二度と味わいたくない経験だ。
しかし、わたしの中に怒りはない。
「許します」
「え……リンちゃん」
「……一瞬だけ。ルイくんと話してて、友達ってこんな感じなのかなって、思ったんです」
また光峰さんに睨まれてしまうだろうと、あまり考えないようにしていたけれど。
キョウダイ以外の同年代と仲良く接しようとするのは初めてで。
文字で得た情報以上の『友達』がわかるんじゃないかって頭をよぎっていた。
わたしに友達はいないから。
「できるなら、そんな関係が、いいです……」
「と、友達……、なっていいんすか」
呆然としたルイくんに小さく頷く。
自信はない。彼が信頼に値する人物なのか、まだまだ見定めは完璧ではないけれど。