排他的に支配しろ


 喋りながらルカさんは棒状のものを着物から取り出した。

 気付いた春日さんが待ったをかける。



「あ、ルカ。吸わないで」

「何よ、あなたもこういうときは吸ってるじゃない」

「俺はやめたの」



 春日さんから、背中に手を回された。



「煙草を嫌いそうなお気に入りの子ができたから」

「……あ、そ」



 つまらなそうに、ルカさんは出したものを仕舞う。カウンターに肘をつき、ふぅ……と息を吐く。




「一抹製薬って、知ってるかしら?」




 ……イチマツ?

 研究所の名前と同じだ。



「百鬼会が薬の取引をしてる相手の一つみたいね。表では普通の製薬会社としてやってるようだけど、裏では色々手を広げてるらしいわ。例えば、」



 一拍おいて。

 本題、を突き付けられた。



「超能力の研究──という名の、人体実験とかね」



 わたしのことを……言われている。

 震えそうになるのを春日さんが支えてくれた。


 人体実験……。自分で思うのと、他人に言われるのとじゃ重みが違う。

 研究所にしてみれば、ただの道具なのではないかと思い知らされているみたいで。


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