排他的に支配しろ


 ベッドまで運んで、横にされ、毛布を被せられた。

 眠れないと伝えたのに、春日さんはわたしを寝かしつける準備をしている。


 タブレットで、春日さんは何かを見てた。たぶん、犯人の姿を。

 わたしには何も情報を与えないつもりなんだ。

 意識だけを変えたって、春日さんの中にいるわたしはか弱いまま。

 行動に移さないと気付かれない。

 さりげなく机に置かれたタブレットを、逃すまいとすかさず指差す。



「そのタブレット、見たいです」

「……ん~? なんで?」



 警戒しているのは見てとれた。

 怯まずにぐっと踏み込む。



「隠し事は嫌です……。わたしが、邪魔者みたいで寂しい、ので」



 春日さんは秘密主義者だ。物理的な距離は近いけれど、どこか心に一線を引かれている。

 信頼しているのはわたしの方からだけなのだ。

 それを対等にしておかないと、決意は無駄になるだろう。



「……ははは……」



 顔の半分を手で隠して笑い始める春日さん。



「強いよね~……なんにも知らない子って」



 まるで、自分は弱いとでも言いたげだった。


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