排他的に支配しろ


 兄は生きている。当然六分の一を引き当てたのだ。

 南蜘蛛家の人間が、銃の発砲くらいで死ぬわけがない。

 俺が超能力を信じないのは、本物の能力者は超能力という非科学的な力なんて必要としていないのを知っているから。



「今回はこちらも参加しよう。通常のロシアンルーレットだ」

「いやいや。それ、どう転んでも……天鳳さんは死ぬことになりますよね?」



 『管理者・南蜘蛛 春日が死亡したと見なされた場合、契約は破棄となる。秘匿性を保管するため、街及び街の住民は消滅対象とする。』──というのが、俺の知らぬ間に決められた契約内容の一つ。

 俺が死なない人間なら、わざわざこんな文章を作らない。



「構わない。ボスの代わりならいる。死ぬ覚悟もないのに人を殺してきていないしな」

「俺は嫌なんですけど……?」



 覚悟は、かっこいいのかもしれないけどさ。

 仮にもボスが死ぬかもしれない状況、誰か止めに入ってもいいんじゃないの……?

 事務所の壁を囲む部下達は少しも動かない。

 ボスの言うことは絶対、か……。


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