排他的に支配しろ


 俺は心のどこかで、りんが俺から離れることはないと思っていた。

 懐かれていたと自負していた。

 だけど、……家族には負けるのか。


 スマホを拾い上げ、耳に当てる。



「ごめん、落とした。──……、」



 俺も捜すよ、と言おうとした。

 直前、嫌なことを考える。

 りんは、俺より家族と一緒にいることを望んだんだ。

 俺にそれを止める権利があるのか……?



『春日様?』

「あ……とりあえず、すぐ帰るよ」

『はい、お願いします』



 あーあ、変なこと思い浮かぶから足が重いや。

 本質は何も変われてないってことね。



「我々からも人を貸そうか?」



 帰ろうとした俺を天鳳が呼び止める。

 含み笑いを浮かべる彼は、獲物を狙う獣の目をしていた。

 面倒事の増える匂いがする。



「いや~……大丈夫です。KEEP OUTも手伝ってくれると思うんで」

「そうか。今の南蜘蛛様の頼みなら、喜んで引き受けようかと思ったが」

「……え~?」



 かなり揺らいでしまった。

 ここは百鬼会のシマ。裏事情を仕切っているのはほぼ百鬼会である。

 現に花屋やNO_COUNTは百鬼会との繋がりが強固だ。


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