排他的に支配しろ
side《心理》





 イチマツPSI研究所。製薬会社『一抹製薬』の社長、一抹 小糸を筆頭とした研究者が集う超能力研究施設。

 神上 臨改め《支配》の父親、神上 凪も研究員の一人である。

 神上 凪の第一子から超能力が確認されたことから、研究を開始。しかし第一子、神上 統治改め《禁忌》が能力開発の過程において死亡。

 研究目的が《禁忌》の再作成に変更された。



 《禁忌》はおれ達が足元に及ばないほど多才な超能力の使い手だったらしい。

 しかしその万能さから、あらゆる実験を施され──精神が壊れてしまった。

 頭のおかしい研究者達は研究を打ち止めず、懐妊中である神上 凪の第二子に望みをかけたとか。

 おれの誕生秘話は失敗の上に立っていた。


 全部筒抜け。

 他人の悪意を痛みとして感じる《破損》が毎日寝込むのも仕方ない。



「《心理》、後で話いい?」



 朝食の席、隣に座ってきた《正義》がおれに耳打ちする。



「いいけど……今じゃ無理な話?」

「うん、無理な話」



 えらくはっきり言い切る。

 いつもにこやかな《正義》は、何を考えているのかいまいちわからなくて苦手だ。


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