排他的に支配しろ
自分が死ぬための準備をしているのに、《正義》はいつも通りの穏やかなまま。
おれは研究員が毎日繰り返す行動を調べながら、他のキョウダイにも話を通していく。
何も知らない《支配》と、まだ幼い《革命》には伝えないように。
概ね受け入れ体制な中、協力を自ら申し出る者が出てきた。
《破損》と《献身》。
体を引きずる《破損》を支える《献身》。研究所内じゃお馴染みのコンビ。
「足元見てるクソ共を絶望に叩き落としてやる……っ」
「《破損》がやるなら、私も」
本人がそれでいいならと、おれは何も言わなかった。
逆らったらどうなるかわからないから。真実に気付いておいて誰も実行しなかったのは、そんな理由だろう。
一人が先陣を切った途端、恐ろしいほどに事は前に進んだ。
おれは誰が死のうが生きようがどうでもいい。
《支配》の笑顔が消えないなら、なんでもよかったんだ。