排他的に支配しろ


 シャワーの流れを止める。


 春日さんは間違いなく私に一時の自由を与えてくれた人。

 恩を感じている。


 ……それ、から。

 春日さんのことを、もっと知りたかった。




「うん……来るだろうな~とは思った」



 わたしの入室に気付いた春日さん。

 ベッドの縁にすらりと長い足を組んで座っている。

 手にしていたタブレットを近くのテーブルに置き、わたしを迎え入れた。


 弱い力で手を取って。

 ゆっくりとベッドに導かれる。



「なんで来たの?」



 再びベッドに腰かけた春日さんが、立ったままのわたしを見上げた。

 ぐいっと引っ張られて体勢がよろめけば、片足がシーツへ膝をつく。



「俺に悪いことされたかった?」



 どうせ俺を悪く思ってないんでしょ、って見透かされているみたい。

 春日さんの澄んだ瞳に今にも全てを暴かれそうで、少し怖かった。

 このままじゃ、春日さんのことを知る前に知られて終わる。



「かすが、さん」



 絞り出した声は乾燥で掠れていた。

 

「春日さんが、自分のことを過小評価しすぎなんじゃないですか……?」


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