排他的に支配しろ


 ぎゅうっと春日さんの首に腕を回して密着した。

 春日さんの匂い、春日さんの温もり、春日さんの鼓動……。全部全部、感じていたい。



「わー……すっごい甘えてくる。ちょっとかわいすぎるな~……」

「は、ぁ……、っかすが、さ」

「あ~はいはい。早くしようね」



 安心と幸福と快楽と欲望。いろいろな感情がないまぜで、思考がどろどろ溶けていくみたい。

 頬を擦り寄せ、段々と目を薄めていく。

 頭がふわふわする。それでも、春日さんの在処さえわかっていればよかった。



「あなた、どうして今日帰って来てるのよ」



 後ろの方から声がかかる。



「あ、ルカ。後で繚のこと解放しといてね」

「質問に答えてくれるかしら?」

「だって、ほら。見ての通り、俺の帰りを待ってる子がいたからね。俺の都合だから、仕事は休んだままでいいよ」

「……そう。ならいいわ」


「ルイの本心に気付いてて強行したでしょ。こうなるのわかってたんじゃない?」

「別に……結果はどっちだっていいのよ。ルイができるっていうなら、してもらって構わなかったわ」



 ただ……、と独り言のように発されたそれは、



「……汚れるのは、ワタシだけで充分だわ」



 風でかき消され、朦朧とするわたしにはうまく聞き取れなかった。


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