ダイヤモンドのような恋

「ごめんね、優子。
 私、今日が入学式だって
 すっかり忘れてて…。」


私が自転車の用意を
している間、
後ろできちんと
待ってくれている優子が
にこっとほほ笑む。



「いいよ!
 私も昨日の夜に
 思い出して急いで
 用意したんだもん。」



「そっか。……えへへ。
 優子も忘れてたんだぁ。
 一緒だね!」



「うん!一緒ぉ〜。」



優子はいつでも優しくて、
どんな話でも聞いてくれる
私の大親友。

お母さんとか
学校の友達には
話にくい事でも、
優子にだったら
話せちゃう。


私は優子が
大好きなんだ。



「それにしても…
 …もう高校生なんだね、
 私達。」



優子が少し
信じられないように呟く。


優子とおんなじ学校だけど
優子とおんなじだからって
選んだ訳じゃない学校。


でも、そこでやりたい事が
あるからって
選んだ訳でもない気が
する学校。


高校。


高校生。



「…うん。そうだね。
 全然実感ないよ〜。」



水色よりも少し白い
朝の空を見上げながら、
私達は話す。




これから
何があるんだろうな……。




かっこいい先生とか、
いないかな……。



食堂のご飯、
美味しいかな……。






…恋、できるかな……。






でも、
それよりまずは……。



「私達
 おんなじ科だもん。
 クラス、
 おんなじだといいね。」



優子が明るく私に言う。

優子って
私の頭の中が
見れるのかな。


優子に先に
言われちゃった。



「うん!
 優子と一緒がいい!」



「私も、一緒がいい〜!
 違うクラスだったら
 校長に抗議してやる〜!」



「私も!
 絶対抗議してやる〜!」



何気なくて
どうでもいい会話
だと思う。


でもその
何気ない時間
ってなによりも
尊い気がする。



優子との時間、
私、好きだな…。

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