ダイヤモンドのような恋
私達は
楽しく話しながら
自転車をこぐ。
桜の木は
すっかり春めいて、
淡い感じの桃色に
色付いていた。
徐々に高鳴る鼓動。
それと少しの緊張。
「着いたぁ!桜月高校!」
その名の通り
校内には桜が
たくさん咲き乱れる
桜月高校。
オープンスクールで
来た時には
桜はもう全て
散ってしまった後だった。
私の中にある想像力を
隅から隅まで
全部かき集めて、
満開に咲いた桜達を
優子と一緒に
想像したっけ……。
「よぉし!
今から体育館まで競走!
行くよ、優子!」
私の提案に
快くうなずいた優子は
「負けないよ」というように
私にほほ笑みかける。
「私だって負けないから」と
ほほ笑み返した。
その笑顔を合図に
私達は走り出す。
駐輪場から体育館まで
そう遠くはない。
新入生担当の先生が見えた。
あの先生の位置がゴール。
優子も納得したのだろう、
私の目を見てうなずいた。
淡い桃色のカーテンに
包まれたかのような場所。
暖かくて気持ちいい朝。
こんな感覚、
こんな気持ちは
久しぶりで。
どうしてって聞かれると
困るけど……、
優子と、
本気で走り合いたい。
そう思ったんだ。