ダイヤモンドのような恋
「うん。
ついに高校生に
なっちゃったね、
私達。」
にこりとほほ笑む優子は
女の私から見ても可愛いな。
なんで優子に
彼氏がいないのか
ホントに不思議だよ。
たくさんの新入生達の中で
私達は明るく話す。
カメラを
持って来ていた子達は
友達と一緒に桜の下で
嬉しそうに
写真を撮っている。
なんだか、うらやましいな…。
私達もカメラとか
持ってくればよかった。
「…今日って普通の生徒、
登校してないのかなぁ?」
なんとなく気になったことを
優子にたずねると、
「ん〜…どうだろ……。
少しくらいは
来てるんじゃないかな?
入学式が
9時からだったから、
それより前から…とか、
後から…とか。
…部活、とかで…。」
と難しそうな顔をして
答えてくれた。
考えながらも話してくれる。
たとえわかんなくても、
すぐにまとまんなくても
意見をくれる。
そんな優子の話し方も
なんとなく好きだ。
「そっか。
いや、特に意味とか
ないんだけど…。」
ドン。
お互いに顔を見て
話し合っていた私は、
大勢の新入生達の一人に
ぶつかってしまった。
「きゃっ!」
と相手の女の子が小さく
声をあげる。
「ご、ごめんなさい!」
とっさに前を向いたけれど
急な事で
足に力が入らなかった私は
ちょっとだけよろけた。
その時だった。
大勢の新入生達の間に
その人はいた。
青緑色の上着と
赤いネクタイ、
チェック模様のズボンを
はいた男子専用の制服。
制服姿が似合っていて、
自分より
もっと大人っぽい人。
胸がキュンとした。
トクン、トクン……。
鼓動はどんどん速くなる。