ダイヤモンドのような恋

女の子の声で
「大丈夫です」と
聞こえた気がした。









そんな声も耳に入らない。









日なたにいたんだ、その人。

後で気付いたこと。



でも、関係なかった。













輝いていた。


この場にいる誰よりも、
何よりも……。







白っぽいけど白じゃない輝き。


全く色がない訳でもない。


全ての色みたいでもある。











…ダイヤモンド、みたいだ。











透明で、
白に近い気がするけど
光を浴びると
七色に輝くダイヤ。





自ら発光している
みたいだけど…、
決して強すぎなくて…
…控えめな輝き。








そんな人だった。









「…!……き!沙月ぃ!
 ちょっと、
 大丈夫ってば!?」



優子が軽く
私を揺すぶった。


そこでようやく
私は現実にかえってきた。



「…ん?
 ……あれ?
 さっきの子は…?」



「もぅ…沙月ったら…!
 あの子、
 すぐに走って行ってどっか
 行っちゃったじゃん!
 沙月は沙月で
 転びかけたまま、
 なんか上の空だし…。」



そうか。
走って行っちゃったのか…。







全く気が付かなかった。









あの瞬間、
ホントに
世界が止まった気がした。



幻でも見たみたいに…。




でも
この鼓動が教えてくれる。



「嘘じゃないよ」、
「幻じゃないよ」、…って。








トクン、トクン、トクン……。


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