緑くんに告白されて。



「うるさい……私のこと幼なじみだなんて思ってないくせに……可愛いだなんて思ってないくせに……」



緑くんからしたらいきなり何の話?って思うかもしれない。

けど、あの人たちに言われてからずっと引っかかってて……。



「どうしたの?橙?」



俯く私のことを見て足を止めた緑くん。



「さっきの人たちが、緑くんは私のこと幼なじみって思ってないって言ってたの……」



泣きそうになるのを堪えながらそういった。



「正解かもね……」


「……へ?……」



“正解かもね”そう言い放った緑くんは、私の手を握って、いつも2人で花火を見ている場所の方向に私を引っ張っていく。



手を繋いでいるから物理的な距離感はないのに、心の距離感はとっても遠く感じる。



私たちの特等席へ向かっている途中に花火が始まってしまった。


花火は20分間。


そこまではまだ歩いて10分はかかる。
< 13 / 64 >

この作品をシェア

pagetop