緑くんに告白されて。




「丘園くん。鶴間さん。ここのキスシーンなんだけど、高校生の文化祭劇では本当にする必要はないから。2人で工夫してそれっぽく見せて」



そう言ったのは、劇の総合監督であるクラスメイト。


そう。この劇には1番盛り上がるシーンでキスをする場面があるのだ。



今は、緑くんのリハーサルを見ているが、次は私と朱詩くんの番。

緑くん以外の男の子とあんなに顔を近づけたことなんてないから少しだけ緊張してしまう。


それに、何故か緑くんのリハーサルを見られなかったり……。

これは、幼なじみとしてのヤキモチだよね?



「次ー!委員長ペア!」


監督が私たちに指示を出した。


リハーサルをするための舞台へ向かおうとすると、少しだけ怖い顔をした緑くんが私の方へ向かって歩いてくる。



「ねえ、橙?」



そう言って、私の顔にグッと緑くんの顔が近づいた。



「俺ともちゅーしてないのに、他の男とするなんてダメだからね」



クラスのみんなが見ている中でそんなことを言った緑くん。


色々な種類の恥ずかしさが入り交じって、顔が真っ赤な私だった。
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