緑くんに告白されて。
花火大会
「橙乃……また太った?」
「なに!またって!太ってないから!」
いっつもいっつも私をいじめてくるお兄ちゃん。
2つ年上の大学2年生。
優しいんだけど、少し……だいぶいじわる。
「好きだよね、緑も」
「何がー?」
「お前ってほんとアホだよな……」
お兄ちゃんは、いつも緑が可哀想だって言う。
でも、私には何が可哀想なのか全く分からない。
「橙都兄ちゃん。僕もそれ着たい……」
「翠も着るか。俺と緑のお下がりならあるしな……よし、出来た。馬子にも衣装……だな?」
橙都とは、私のお兄ちゃんのこと。
翠は、緑くんの弟で幼稚舎の年少さん。
「うるさい!」
「とのちゃん、かわいいね」
「ありがとう、翠」
翠は、私のお兄ちゃんの事が大好き。
緑くんが私の家にいようがいまいが、お父さんが帰ってくるまでずっとうちにいる。
緑くんのおうちは、今は3人家族。
私たちが中学生の時にお母さんが病気で亡くなってしまったのだ。