緑くんに告白されて。
お母さんが亡くなった時は、ちょうど私たちが思春期で色々感じやすかったんだと思う。
緑くんは、誰とも話さなくなってしまった。
「橙?準備できた?」
「鍵のかかっていない玄関のドアが開いて、緑くんの声が響いた」
今、こんなふうに話せるようになったのが私はとても嬉しい。
緑くんに話しかけて答えてくれるまで、しつこく詰め寄ってたな……。
「今行く!」
時刻は17時30分。
きっと緑くんは早く準備を終えていたんだろうけど私のスピードに合わせてくれたんだと思う。
緑くんはやっぱり優しいな……。
着付けをしてもらっていたリビングから走って玄関に出ると、紺色の浴衣に白帯をしめたいつもよりもかっこいい緑くんが立っていた。
いつもはただの黒髪マッシュなのに、今日はセットされていて雰囲気が違う。
やっぱり緑くんってかっこいい。
「さすが、私の自慢の幼なじみ。今日もかっこいいね」