クールな君と愛しすぎる僕
寧音を早く、手に入れたい━━━━

早く、
早く、
早く………!


今までの登羽なら、相手の懐に上手に入り込むのは簡単にできていた。
だから、親しみを込めて“~ちゃん”呼びで、相手が年上でもタメ口で接しても、受け入れられていた。

しかし、相手は真面目で誠実な寧音だ。

もっと慎重にしないと、あっという間に嫌われる。
だから、敬語や苗字のさん付けで接している。


「━━━━ん!美味しい!」
「はい。美味しいですね!」
にっこり微笑む登羽に、微笑み言った寧音。

「………あ…/////」

「え?辰沼さん?」

「初めてだ……/////」

「え?」

「初めて、笑ってくれた!
何これ…/////スッゴく嬉しい!」

「あ、すみません。
私、あんまり感情を表せなくて……」

「いえ!
大丈夫ですよ!
…………だからかなぁ~
今みたいに少し笑ってくれると、とても貴重な気がします!
綺麗な笑顔ですね!
可愛い~」


益々、好きになる~!

登羽は、ニコニコしながら寧音に見惚れていた。



「━━━━ここは、私にご馳走させてください」
「あ、そうでした!」

当たり前のように出そうとすると、寧音に制止された。
ここ一ヶ月、登羽が頑なに寧音に出させないようにしていた。

登羽のプライドでもあるが、やはりカッコ良いところを見せたかったから。

でも昨日の夕食後に、約束させられたのだ。

“次回は、私にご馳走させてください。
でないと、もう食事に行きません”と。


会計後━━━━いつもなら寧音を自宅に送るのだが、今日は近くの公園に寄った二人。

「関水さん」
「はい」

「僕は、関水さんが好きです!」
「………」

「僕の、恋人になってください!
関水さんと、もっともっと近づきたいです!
“寧音ちゃん”って呼んで、普通に親しく話がしたい!」

「…………はい。私も、辰沼さんが好きです。
辰沼さんの、恋人になりたいです」

「ほ、ほんと!!?」

「はい」

寧音が、微笑んでいた。


「“寧音ちゃん”って呼んでいいですか?」
「はい。
タメ口で構わないですよ?」

「うん!ありがと、寧音ちゃん!」

「私も、近づきたいです。
タメ口でいいですか?」

「うん!
登羽って呼んで?」

「登羽」
「寧音ちゃん!」

「フフ…」
「わ…////また、笑ってくれた~!可愛い~寧音ちゃん」


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