クールな君と愛しすぎる僕
それからも、登羽の寧音に対する想いは爆発的に加速する。

「寧音ちゃん!好き好き~!
チューしよ?」
「寧音ちゃん、会いたいよぉ~」
「寧音ちゃん!今日、泊まって行きなよ!」

“寧音ちゃん”“寧音ちゃん”と、べったりくっつき、離れたがらない。

そんな登羽を寧音は、鬱陶しがることなく……寧ろ“可愛い”と思っていた。



そして、この頃から登羽の純粋な想いは狂っていく。




“寧音ちゃんの仕事以外は、離れたくない”

そう言って、ことある毎に寧音に会いに行く登羽。

「明日、どっか行こ~?」
「あ、ごめんね。
ちょっと、予定があるの」

「え?予定って何?
誰かに会うの?
男?」
「ううん。誰にも会ったりしないよ。
片付けたり、衣替えしたりしたいの」

「そっか…わかった…」

そして次の日。
寧音のアパート前で外から寧音の部屋を見つめていると、しばらくして寧音が大きな袋を下げて出てきた。

「寧音?」

後をつける。
寧音は、リサイクルショップに入っていった。

「………これ、お願いします」

大きな袋の中には、服やバッグ、小物が入っていた。
「あー、衣替えするって言ってたな」

寧音がショップを出ていき、登羽は店員に言う。
「今の女性が持ってきた物、全部返して!」

「え?」

「僕の、大切な物なんだ!
いくらで買い取ったの?
その金額を払うから!」

そう言って、寧音が持ってきた不要品を全て手に入れたのだ。


そしてその日。
マンションに帰り、持って帰ってきた物を広げた。

「んー
寧音の匂いがする~!幸せ~」

その日から登羽は寧音の出したゴミを漁り、写真を撮るようになる。


少しずつ登羽の、倫理や道徳がなくなっていく━━━━━━


レンタル倉庫を借りた、登羽。
寧音の写真や服等が、みるみる増えていった。




交際後、更に半年後━━━━━━


「寧音ちゃん。
寧音ちゃん家に、越してきていい?」

「え?登羽?」


突然、大きな荷物を持って登羽が転がり込んできたのだ。


もう登羽は、寧音と片時も離れられなくなっていた。
寧音の写真や不良品を集め、眺めるだけでは満足できなくなっていたのだ。

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