クールな君と愛しすぎる僕
「え?甘いの?」
「なんか…甘い」

「ちょっと、一口飲んでいい?」
寧音がカップを受け取り、一口飲む。

「………
甘くないよ?
寧ろ、私からすれば濃くて苦いくらい。
確か登羽は、このくらいが好きって言ってたはず」

「………」

「ん?登羽?」

もしかして、寧音が淹れたコーヒーだから?
まさかね……(笑)

「寧音ちゃん、チューしていい?」
「え?うん」

寧音とキスをする。
少し、寧音の口唇を味わうように……

「あぁ…やっぱり、そうなんだ…(笑)」
口唇を離し、呟いた登羽。

寧音とのキスは、毎回甘さを感じている。
物理的ではなく、感覚なのだが……

コーヒーも、同じ甘さを感じたのだ。

(僕って、ここまでイカれてるんだ)
登羽は、自嘲気味に笑う。そして続けて呟いた。

「……………ほんと僕、ヤバいな…(笑)」


「え?なんなの?」

「ううん!
コーヒー、美味しいよ?とっても!ありがと!」
「……??うん」
首をかしげながら、頷く寧音だった。


一緒に夕食を調理する。
「寧音ちゃん、これ持ってってー」
「うん」

テーブルに運ぶと、ちょうど登羽のスマホが鳴った。
「登羽、スマホ鳴ってるよ」

仕事の連絡かもしれない。
スマホを取り、キッチンにいる登羽に持っていこうとする。

その時、つい…画面が見えてしまう。

“はる”という人物から、メッセージ。
【わかったよ♡掃除する?】

(“はる”?誰だろ?
しかも、ハート……)
思わず、スマホを持ったまま固まってしまう。

登羽は寧音に、自分の知り合いなど一切会わせたことがない。(嫉妬するから)
だから当然、寧音は晴彦のことさえも知らないのだ。

「寧音ちゃん?どうした?」
「あ、これ…」
固まった身体をなんとか動かし、ぎこちなく渡す。

「ん?あー、見た?」
あっけらかんとして言い、スマホを受け取る。

「ごめんね。見えちゃって…」
不可抗力だからね!と思いながら、恐る恐る登羽に伝える。
「ううん!」
登羽は安心させるように微笑み、スマホを操作した。

ダイニングテーブルがないので、二人はカーペットの上に座り、並んで食事をする。
夕食を食べながら、登羽に話しかける寧音。
「登羽」
「んー?なぁに?」

「はる?さんって……」

「ん?」
「あ…ごめんね。
ちょっと、気になって……」

「幼馴染みだよ」
「え?」

「歳ははるの方が上なんだけど、弟みたいな人なの!」
「……弟…」

「ん?寧音ちゃん?」
寧音の顔を覗き込む。
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