クールな君と愛しすぎる僕
そして、スマホを操作しだした。

「━━━━あ、はる?
今、寧音の職場にいんだけどー
迎えに来てよ。
また電車で帰るの、めんどくさいから」

『うん、いいよ』
数十分後、ワゴン車が止まった。

後部座席のスライドドアが自動で開く。

「「「お疲れっす!登羽さん!」」」
後部座席に座っていた男数人が、中から一斉に挨拶してきた。

「お疲れ」
登羽も乗り込んだ。

二列目に、晴彦(はるひこ)(通称・はる)が煙草を吸いながら座っていて「お疲れ」と微笑んできた。

隣に座る。
「ん。
ありがとね!」
「ううん!
ほら、煙草。いる?」

晴彦が差し出してきて、登羽は一本取り咥える。
火を晴彦がつけてくれ、吸い出した。

「何?今から、集会でもするの?」
少し窓を開け、煙草の煙を吐きながら言う。

「ん?集会って…(笑)
し、ご、と!」
「そうなの?
ずっと、プラプラしてたのに?
何の仕事?」

「掃除」

「は?掃除?
ダ◯キン的な?」

「あー“その”掃除じゃねぇなぁ。
排除するもんが違う」

「…………
……あぁ(笑)」
なんとなく察して、フッ…と笑った。

「報酬はでかいぞ?(笑)」
「だろうね(笑)
でも、表には出れないよ?」

「フッ…だな(笑)
登羽も、掃除してほしいモンがあったらいつでも言えよ。
もちろん、無償でしてやる」

「ありがと。
でもね。
掃除は、自分で出きるよ?
しかもはるみたいに、表に出れないなんて事ないよ」

「まぁ、そうだな!」

「フフ…でも、頼りにしてるよ?はる」

「フフ…登羽の為なら、なんでもやってやるよ!」


晴彦は、登羽の幼馴染み。
家が近くて、ある意味兄弟のように仲の良い二人。

晴彦は、両親を小学生の時に亡くしている。
その為、登羽の両親が色々支え面倒をみてきた。

だから晴彦は、年は登羽より上だが、登羽や辰沼の人間には頭が上がらない。

察しのとおり晴彦は、学生の時に作ったチームメンバーと裏の仕事をしている。
(登羽は“めんどくさいから”という理由で、所属してない)
そして、とても恐ろしい人間だ。

その晴彦から見て、登羽はもっと恐ろしい。



自宅マンション前に着き、登羽が降りる。
「ありがと」
「ん。またね!」

マンションに入り、仕事にとりかかる。
煙草を咥え、ノートパソコンを出す。

登羽はデザイナーの仕事をしていて、在宅で働いている。
しかしまずは仕事ではなく“あることを”行う。
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