クールな君と愛しすぎる僕
「━━━━━ただいまー、寧音ちゃーん!」

「おかえり」
寧音が玄関まで出迎えに来る。

僕は寧音に抱きついた。
そして、匂いを嗅ぐ。

最近は香水をつけないので、寧音独特の匂いがする。
なんとも言えない、寧音の独特の甘い匂い。

あぁ…幸せ………!


「もうすぐ出来るから」
寧音がキッチンで、玉子を焼きだした。

「フフ…僕も、手伝う~!」

チキンライスは出来ていて、その上に玉子をふわりとかける。
パカッと開けると、トロトロとした半熟の玉子が良い具合にとろけた。

「いただきまーす!」
「いただきます」

並んで座り、仲良く食べる。

寧音の作った料理は、格別だ。
どんな三ツ星レストランのフルコースよりも、どんな高級な懐石料理よりも美味なのだ。

「美味しい~!」
「そう?良かった」

僕は満面の笑みで感想を言うと、寧音も嬉しそうに微笑んだ。
(あ、でも!端から見たら無表情だけど!)


そして僕が挽いたコーヒーを飲む。

ここに越して来てから睡眠薬は使ってなかったが、今日はしなければならないことがある。

久しぶりに睡眠薬入りのコーヒーを飲ませた。


「ふぁぁぁ……」
「寧音ちゃん?」

わ…/////あくび、可愛い~

「なんか…眠い……」

「ほら、僕の膝に頭乗せて?
寝なよ?」
僕が自分の膝をポンポンと叩いて言うと、頷いて寧音が僕の膝枕で横になった。

すぐに、スースーと寝息が聞こえてきた。

ソファの背にかけていたブランケットを寧音の身体にかけ、僕はノートパソコンを開いた。

言わないでも、わかると思うが……

和光を社会的に抹殺するため、僕はキーボードを叩く。
ここに引っ越してきた段階で準備はしていたので、操作はそんなにしなくてもあっという間に和光の個人情報がばらまかれた。

この情報社会だ。
一度ばらまかれた情報は、あらゆることに使われていくだろう。

しかも和光は、会社の機密情報も管理していたため、和光のせいで会社も大変なことになるはず。


「フフ…フフフ……」

思わず、笑いが出てくる。

これで、ほっておいてもあっという間に和光はぼろぼろになる。

もう二度と、ここに来ることはないだろう。

そんな暇なんてなくなるだろうし。


「フフフ……あーもう(笑)笑いが止まらないよぉー」
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