幽霊相談所(短)
お菊は椅子へ座ると、ペンとメモを用意し、顔の見えない相手にそう聞いた。


「実は全然人間が来ないんです」


少しイガイガした声で、相手が答えた。低い声だが、幽霊なので男か女かはわからない。


「心霊スポットで知られてないんですか?」


「いいえ、有名ですよ」


「でも、人間が来ないんですか? それはおかしいですね」


「そうなんですよ。実は、私の脅かす区域に他の幽霊が入ってきてましてね」


「おや、それはいけませんね」
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