死体写真2
毅がそう聞いたとき、誰も反応を見せなかった。


さっきからスマホを確認していたのは毅だけだから、他の者が知っているはずもない。


「おい、誰か由香里のスマホを知らないのか?」


毅の言葉が強くなる。


そういえば、どこにあるんだろう?


由香里のスマホを探しだしたのは結だけれど、アドレスを削除した後どこにいったのかわからない。


全員が黙り込んでいると、匠が小刻みに体を震わせていることに気がついた。


匠が座っている椅子がカタカタと音を立てていて、それが耳障りだ。


「おい、お前」


毅が大股で匠に近づこうとしたそのときだった。


「あははははは!!!」


突然顔を上げたかと思うと、匠が大声で笑い始めたのだ。


鼓膜が破れてしまいそうなほどの大声に、咄嗟に両耳をふさぐ。


「届いた! 今度はお前に届いた! お前が死ぬんだ!」


ケタケタと笑いながら哲也を指差す。


その目には涙まで浮かんできている。
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