死体写真2
☆☆☆

静がふたりの部屋から出てきたのは3時間後のことだった。


無理な体勢で長時間いたことで、体のあちこちが痛む。


すぐに逃げ込みたかったが、その気持を殺して浴室へと向かう。


死体写真が送られてくるようになってからお風呂はシャワーだけの日が続いている。


静は湯船にお湯をはりながらシャワーで体の汚れを流し始めた。


ふたりが触れた部分を丁寧にふいていく。


そこでようやく自分の体が小刻みに震えていることに気がついた。


自分の命のためとはいえ、好きでもない男2人と寝たのだ。


その事実が重たくのしかかってきて吐き気がこみ上げてくる。


何度かその場にえずいたものの、今日はロクに食事もとっていないのでなにも出てこなかった。


何度も何度も体を洗い、ようやく湯船に浸かると少しだけ心が和らぐ気がする。


「大丈夫。これで私は死なないんだから」


自分に言い聞かせるように静は呟いたのだった。
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