死体写真2
明日香は長く延した刃を月明かりに照らしてうっとりと微笑んでいる。


豊に捉えられている美幸はふーっふーっと鼻息が荒くなり、額から脂汗が流れていく。


「はやくしろ」


豊に言われて明日香がニッコリと微笑み、近づいてくる。


どういうこと!?


なんで!?


パニック状態で豊を睨みつけると、豊は少しだけすまなさそうに眉を下げた。


「妊娠の話は嘘なんだ」


「!?」


美幸は愕然とししてしまってなにも考えることができなくなる。


「美幸にメールが来たから、誰かを殺してしまうんじゃないかと思って、それが心配だったんだ。もし明日香が殺されたらどうしようって」


豊はそう言って明日香へ視線を向けた。


明日香は嬉しそうに笑っている。


当然、明日香はここに美幸が潜んでいることを知っていたし、教室内に入りたくないと言ったのも、美幸が聞いているだろうからと演技したのだ。
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