死体写真2
☆☆☆

施設の事務所は1階の角部屋にある。


階段を降りて最奥へと向かっていると途中で豊とすれ違った。


豊は食堂へ向かっているようだけれど、結の顔を見た瞬間視線をそらした。


「おはよう」


結は気にせずに声をかける。


逆側からやってきたということは、トイレにでも寄ってきたんだろう。


「あ、あぁ」


なぜだか視線を外したまま曖昧な返事をする。


いつもと違う豊に違和感があるものの、「明日香ももうすぐ来ると思うよ」と告げて再び歩き出す。


事務所の前まで来るとなんとなくそのドアをノックしてしまう。


学校の職員室の雰囲気とよく似ているからだろうか。


結は自分の行動に笑みを浮かべながらドアを開いた。


そこには2つのデスクが並んでいて、奥には簡易的な応接室が作られている。


半透明のパーテーションで仕切られていて、茶色くて重厚感のあるテーブルのソファが置かれていた。


デスクの上には白い電話が置かれていて、結は近づいて受話器を上げた。


耳に当ててみるがなんの音も聞こえてこない。
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