死体写真2
ふたりが会話をしている間にも結の後ろのパーテーションが徐々に開き、ロープを握りしめた豊がにじり寄ってくる。


結は明日香との会話に夢中で全くこちらに気がついていない。


これならいける!


勢いをつけて結の首にロープを巻きつけようとした、その直前だった。


突然明日香が立ち上がり、結の手を掴んで引き立たせていたのだ。


ロープは空を切り、豊は咄嗟にパーテーションの奥へと戻っていた。


心臓が早鐘を打って額から汗が滲んできている。


なにしてんだよ!!


突然の明日香の行動に豊の心臓は今にも破裂してしまいそうだった。


危うくバレてしまうところだった。


「呼び出してごめんね。じゃあ、また明日」


そんな明日香の声が聞こえてきて豊は焦った。


これからというときに、結が部屋へと戻っていってしまう!


どうする?


今からでも飛び出して拘束するか?


パーテーションの隙間から明日香の様子を確認すると、明日香は目に涙をためて左右にゆっくりと首を振ったのだった。
< 186 / 253 >

この作品をシェア

pagetop