死体写真2
明日香と豊の過去
ふたりが始めて出会ったのは3年生で同じクラスになってからだった。


「じゃあ今期の駐輪場係は渡辺で決まりな」


最初の係決めのときに駐輪場係に選出されたのが、明日香と豊のふたりだった。


それまで全く面識のなかったふたりは始めてお互いの存在を知ることになった。


「これからよろしくね」


少し照れくさそうに言う明日香に豊は頷く。


「こちらこそ」


初めての係の仕事は昼休憩中に駐輪場を確認しておくことだった。


朝の内に止められた自転車が、ちゃんと決められた位置にあるかどうかだ。


「結構みんな好き勝手に止めてるんだな」


駐輪場へやってきた豊は専用の屋根の下からはみ出している自転車の数の多さに驚いた。


そもそも駐輪場自体が狭いのではないかと思ったが、斜めに止めていたり、倒して置いていたりと、乱雑になっているのが原因だとすぐにわかった。


「こうやって倒しておくと、風で倒れたりしないから自転車が壊れにくいんだよね」


明日香は横倒しになっている自転車を見てそう言った。


なるほど。
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