死体写真2
下山する
結は部屋の中で雷鳴を聞いていた。


それはすぐ近くに落ちたようで、全身がビリビリと震えるほどの音が響いた。


思わず悲鳴を漏らして畳んである布団を抱きしめる。


一瞬部屋の電気が消えたけれど、すぐに周囲は明るく照らし出された。


どうやら施設に直撃はしなかったみたいだ。


だけど今のは相当近かった……。


不安と恐怖に硬直してしまっていたとき、ノック音が聞こえてきて「はい」と返事をする。


ドアを開けて顔をのぞかせたのは大河だった。


「大丈夫だったか?」


「私は大丈夫。すごい音だったね」


「かなり近くに落ちたみたいだ」


大河は部屋の中を見回して明日香の姿がないことを気に留めた。


「明日香は?」


「たぶん、今頃豊と一緒にいるんだと思う」
< 193 / 253 >

この作品をシェア

pagetop