死体写真2
☆☆☆

教室にも部屋にも風呂場にもふたりの姿は見えなかったが、結と大河は無言で捜索を続けた。


もしかしたらふたりで外へ出て、逃げ出すいことに成功したのかもしれない。


そんな淡い期待も浮かんでくる。


どうかそうであってほしい。


下山して、街の人たちにこの施設の状況を知らせていてほしい。


けれどそんな希望は事務所のドアを空けた瞬間に打ち砕かれていた。


事務所の窓が開いていて、そこから風雨が吹き込んでいる。


昨日結がここへ来た時にはちゃんとしまっていたはずなのに。


結と大河の胸に大きな不安が過り、窓へ近づいていく。


床は水浸しでカーテンはびしょ濡れだ。


足元に注意しながら窓辺に近づき、大河が身を乗り出して外を確認する。


その瞬間「うっ」と小さく声を上げて後ずさりをした。


その顔は一瞬で青ざめて、生気を失っている。
< 197 / 253 >

この作品をシェア

pagetop