死体写真2
☆☆☆

施設から一歩外へ踏み出した途端に雨が体に叩きつけてくる。


傘なんてほとんど意味がないようなものだ。


結は大河が用意してくれた透明な合羽を着用しているので、みんなよりは少しマシな状況にあった。


「この木はどうにもできないな」


広場を抜けて門の前まで来て大河が呟く。


先生が言っていたとおり門の前には大木が横倒しに倒れていて、とてもじゃないけれどどかせれそうにない。


たしか体育館倉庫にチェンソーがあったはずだけれど、充電があるかどうかわからなかった。


大河が5メートルほどある錆びたフェンスを見上げる。


フェンスの最上部は有刺鉄線になっていて、野生動物たちが侵入できないようになっている。


大河にもそれは見えているはずだけれど、躊躇することなくフェンスに片足をかけた。


あとはスイスイと身軽に上がっていって、あっという間に上まで到達していた。
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