死体写真2
「様子はどうだ?」


下から哲也が声をかけると、大河は返事をする代わりにポケットからハサミを取り出して見せた。


事前に明日香たちが有刺鉄線が会ったと知らせてくれていたから、持ってきたみたいだ。


大河は片手でハサミを扱い、有刺鉄線を切断していく。


その間にも雨は降り続いていて視界は悪くなる一方だ。


5分間ほどパチンパチンと有刺鉄線を切断する音が聞こえてきていたが、ついに人1人文の隙間ができたようだ。


大河がフェンスをまたいで向こう側に着地した。


「やった!」


結は思わず手を叩いて喜ぶ。


哲也が先にフェンスを登り、その後に毅が続いた。


ふたりとも運動神経がいいからフェンスを乗り越えるくらいどうってことのない様子だ。


「大丈夫だから」


残された結に大河が声をかける。


結は大きく頷いてフェンスに足をかけた。
< 203 / 253 >

この作品をシェア

pagetop