死体写真2
高い場所は苦手だけれど今は行くしかない。


できるだけ下を見ないように注意しながら一歩一歩フェンスをよじ登っていく。


最上部までくると切断された有刺鉄線が目に入った。


その隙間をぬってフェンスの逆側へ足を回す。


そのとき嫌でも地面が見えてしまって一瞬体が震える。


「結!」


大河の声に視線を向けると、傘を下ろして両手を広げているのが見えた。


結はコクリと頷いて大河めがけてジャンプした。


大河は見事結の体をキャッチして地面を下ろしてくれた。


「ありがとう」


いくら軽いといっても衝撃はあったはずだ。


けれど大河はそんなことおくびにも出さずに「さぁ行こう」と、全員を促したのだった。
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