死体写真2
大河はそんな結の肩に手を置いた。


「まだ時間はあると思う。とにかく下山できるところまでしよう」


「どうしてそんなことが言えるの!?」


24時間以内に死ぬかもしれないのに、どうしてそんなに冷静でいられるの!?


結ノパニックは収まらず、泣きじゃくる。


そんな結に大河もつらそうに顔をゆがめた。


「俺たちは行く。お前はいつまでも泣いてりゃいいんだ」


毅の吐き捨てるような言葉に結が顔を上げた。


涙で視界が滲んでいるけれど、睨まれていることがわかった。


「な……によ……! なによ、あんただって人殺しのくせに!」


「あぁそうだよ。自分のために人を殺した。それがなにか悪いか?」


開き直ったような毅の言葉に結は目を見開く。


仲間たちを殺しておきながら、信じられない言葉だった。


怒りがふつふつと湧いてきて顔が赤く染まっていく。


結は両足の力を振り絞って立ち上がった。


「私も行く。あんたたちの悪事をちゃんと告発してやる」


その言葉に毅は軽く笑って再びあるき出したのだった。
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