死体写真2
☆☆☆

ふたりで下山を再開してから結は哲也が死んでしまったことを大河に伝えた。


大河は驚いた表情を浮かべて「山の中にはいくつも崖があった。俺も何度も落ちそうになったよ」と頷いた。


その証拠に大河の服はあちこちが破れて肌が見えている。


血が滲んでいる箇所もあって痛々しい。


一刻も早く下山して手当してあげたいが、それまで大河が生きているかどうかわからない。


そう考えるとまた心が重たくなってくるので、結は強引に自分の思考回路を変えた。


とにかく今は大河と一緒にいることを幸せに感じよう。


「毅は?」


「先に行った」


短く答えて前方へ視線を向ける。


いくら歩いても毅の後ろ姿を認めることはできないから、随分と先へ進んだんだろう。


しばらく歩いたところで大きな木が道を塞いでいる箇所があった。


「これはひどいな。これじゃ救助車だって通れない」


その木はよじ登るにしても大きくて、迂回するしかなさそうだ。


自分たちは歩きだからそれもできるけれど、車だとそれも難しい。
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