死体写真2
長袖の袖口が少しめくれあがり、そこに赤い筋がいくつも走っているのが見えた。


え……。


一瞬結の心臓がドクンッと跳ねて体温が急上昇する。


見てはいけないものを見てしまった気がしてとっさに視線を外した。


今の傷って、リストカットだよね……?


手首に走った傷口はかさぶたになってぷっくりと浮かび上がっている。


それは由香里の悲鳴で、由香里の涙で、由香里の苦しみで、それでも生きていきたいという、由香里の願いだった。


そういうものが全部つまった刻印だった。


由香里がイジメられていることは知っているけれど、それがどれほどのものなのかはわからない。


きっと、クラスメートには見えないところで、想像できないようなイジメが行われているんだろう。


結はドクドクと早鐘を打つ自分の心臓を鎮めるために、そっと窓の外へ視線を移動させたのだった。
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