死体写真2
☆☆☆

それから結は何度も先生と運転手に死体写真についての説明をした。


けれどふたりともなにを言っても信じてくれない。


実際に犠牲者がいるのだと言うと、先生からは「死んだ人間をそんな嘘に使うな」と怒り出してしまい、更に結の言葉を聞いてくれなくなってしまっていた。


「どうして信じてくれないの……」


こんな話誰も信じてくれないと思っていた。


だから前回のときもほとんど他人に説明してこなかったのだ。


でも、実際に誰も自分の言葉を信じてくれないのがこんなにつらいことだとは思わなかった。


今日の夕方には死んでしまう人がふたりもいるというのに、自分はなにもできない。


その無力感から、結は勉強をさぼって部屋に閉じこもっていた。


どうせみんなだってこの悪天候で勉強には身が入っていないはずだ。


こんな状況で予定通り勉強を行うという方が無理がある。


大粒の雨は相変わらず窓に激しく叩きつけられていて、今にも窓ガラスが割れてしまいそうだ。
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