死体写真2
☆☆☆

豊と明日香がもし下山に成功すれば、きっと助けを呼んでくれる。


下山に成功する可能性は低いものの、少しだけ期待が生まれた気がした。


残された結たち7人は食堂へ集まってきていた。


さすがに先生の死体が転がっている教室で待機する気分にはなれない。


けれどみんなも心のどこかで先生の死体をあのままにしているわけにはいかないと、考えているはずだった。


食堂内には重たい沈黙が立ち込めていて、誰もなにも話さなかった。


時折涙をぬぐうような音が聞こえてくるけれど、それは由香里のものだった。


口数の少ない由香里だけれど、内心がおだやかでないことは明白だ。


重苦しい時間が10分ほど過ぎたとき、突然外の風が強くなった音が聞こえ始めた。


食堂の窓をバシバシと叩く雨風に結は体を固くする。


明日香と豊は大丈夫かな。


今、どこを歩いているんだろう。


そんな不安が脳裏をよぎったときだった。


突然廊下の方からバリンッ! とガラスが割れる大きな音が聞こえてきたのだ。


結は思わず小さく悲鳴を上げるけれど、その声は豪雨によってかきけされた。


7人は顔を見合わせたあと、最初に毅が立ち上がって廊下へ出た。
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