死体写真2
「知らな……」


「うそつけ! 知ってんだろうが!!」


耳元で怒鳴られて鼓膜が震える。


キーンと耳鳴りがして結は顔をしかめた。


「なんで言わないんだよ。お前、毅を殺す気か?」


そう言ったのは哲也だった。


毅の後ろに立つ哲也へ視線を向けると、その手にギラリと光るものが見えて結は息を飲んだ。


いつの間にか包丁が握りしめられている。


その切っ先には結がいた。


これには大河もなにもできず、あとずさりをする。


結へ視線を向けると大粒の涙が頬を流れ落ちていた。


「私は……本当に知らない……」
< 74 / 253 >

この作品をシェア

pagetop