ホワイトデーの恋人

フランスで練習に励んでいたある日なんと、帰国が決まった。

彼女に早く会いたくて、俺は仲間よりも先に日本に帰ってきた。

空港のエントランスには沢山の人が居たが、俺は何故か彼女をすぐに見つけられた。

ナンパを装って話しかけると、こっぴどく無視されたが、それはそれで嬉しかった。

彼女は振り向くとすぐに俺に抱きついてきた。

自分よりも小さな彼女を抱き締める事が出来て、ニヤニヤしてしまった。

みっともないと思うけれど、それぐらい嬉しかったんだ。

そして、俺は彼女の唇にキスをした。

額や頬にはよくしていたが唇にはしてこなかった。

唇は恋人になってからと思っていたからだ。

赤くなった彼女を見て、思い切って言ってしまおうと思った。

恋人になりたいという事を、これまでにないくらい君を愛しているという事を。