ホワイトデーの恋人

目を覚ますと、知らない天井が目に入った。

私はすぐに飛び起きて周りを見渡した。

すると、ソファで寝ている男の人に気づいた。

頭の中で緊急会議をしていると、もそっと男の人が起きて

「おはよう。香織ちゃん」

と、私の名前を呼んできたので挨拶を返そうとすると

「おはようございま、ってえぇ?!」

なんと、そこに居たのは私の大好きな吉岡亜希だったのだ。

頭が混乱してオーバーヒートしそうになっていると

亜希くんはこちらに近づいてきて、

「手は出てないから安心してね」

と言い、私の額に軽いキスをした。

咄嗟に私は

「も、申し訳ありませんでした!」

とベッドの上で深々と土下座をした。

亜希くんは戸惑っていたが、私は気にせず

「亜希くんに熱愛報道とかが出て試合に出場出来なくなったら私の責任です!申し訳ありません!」

と続ける。

亜希くんはポカンとした顔から子供みたいな無邪気な顔になって、アハハっと声を上げて笑った。

「確かに、そうなったら困るな。仮にもしそうなったらさ、香織ちゃんはどうする?」

「腹を切って詫びます!!」

そう返したら、亜希くんはもっと大きい声で笑った。

すると

「あ〜おもしろ。そういうところ凄い好き」

と目を細めて言ってきた。

「す、好き?!」

と聞き返すと

「うん。大好き」

なんて言うので

「からかわないでください!」

と怒ると

「本気なんだけどなぁ」

と言いながら亜希くんは頬をポリポリかいた。
< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop