失恋のカノン
「中丸はさ、俺がピアノ弾かなくなったらあんなに泣いてくれるんだな。びっくりしてさ。でも嬉しかったわ」
もう弾かねーと思うけど。
その言葉にまた泣きそうになる。彼は理由を話さないかもしれない。それは無理に聞きだすことではないことを私は知っている。それでも、ピアノを弾いている彼はとても感情に素直でその姿に目が離せなくなったから。
「…わたしは貴方が今嬉しかったかどうかもあんまりわからない。でもピアノに向かって弾いている姿はいつだって自分の感情に正直でそれが音に現れていた。だからあぁ、悲しいことがあったんだとか、嬉しかったんだなとかそういうのがわかってほっとした」
彼は少し身をぎゅっと、固くした。少しだけ瞳は揺れている。唇は固く結んでいる。
私はしっかり彼の瞳を見据えた。
だって彼はきっとこれからピアノを捨てて、自分の感情を向き合うことをやめるかもしれない。それはなんだか嫌だ。
「クラシックのことはよくわからないんだけど、いつも感情に合わせて曲、変えてたでしょ?知ってると思うけど勝手に聞いてたから。それなりにファンだったと思う」
もう弾かねーと思うけど。
その言葉にまた泣きそうになる。彼は理由を話さないかもしれない。それは無理に聞きだすことではないことを私は知っている。それでも、ピアノを弾いている彼はとても感情に素直でその姿に目が離せなくなったから。
「…わたしは貴方が今嬉しかったかどうかもあんまりわからない。でもピアノに向かって弾いている姿はいつだって自分の感情に正直でそれが音に現れていた。だからあぁ、悲しいことがあったんだとか、嬉しかったんだなとかそういうのがわかってほっとした」
彼は少し身をぎゅっと、固くした。少しだけ瞳は揺れている。唇は固く結んでいる。
私はしっかり彼の瞳を見据えた。
だって彼はきっとこれからピアノを捨てて、自分の感情を向き合うことをやめるかもしれない。それはなんだか嫌だ。
「クラシックのことはよくわからないんだけど、いつも感情に合わせて曲、変えてたでしょ?知ってると思うけど勝手に聞いてたから。それなりにファンだったと思う」