バニラな恋に恋焦がれて
嫉妬させちゃえ大作戦
○学生寮・怜の部屋
ついさっき、美郷の部屋の窓の工事が終わったと先生から連絡があった。
美郷「部屋の工事が終わったみたい」
職員室へ呼び出しがあったため、今日は帰りがバラバラだった。
その帰り道その足で怜の部屋へと向かい、お別れの挨拶をする。
怜「そっか、良かったな」
やっぱり怜はあの日から対応が素っ気ない。
美郷と少し距離を取ろうとしているのを美郷自身も感じていた。
美郷「私、部屋戻るね」
怜「あぁ」
美郷が荷物をまとめて立ち上がる。
少し前の怜なら後ろからギュッと抱きしめてくれたはずなのに、少し離れたところから私をじっと見るだけだ。
怜「じゃあな」
美郷「うん、またね」
結局、美郷が部屋を出るまで、一度も怜は美郷に触れなかった。
○学生寮・来実の部屋
工事の終わった自室に荷物を置き、その足で来実の部屋に突撃する。
部屋を何度もノックすると、慌てて来実が部屋から出てきた。
美郷「どうしよう、来実ちゃーん」
美郷は来実に泣きついた。
怜を突き飛ばしてしまったあの日から、怜は美郷に近づいてこない。
どこかずっと距離を取っている。
来実「どうしたの、美郷ちゃん」
泣きついてくる美郷に驚きながらも受け止め、背中をさする来実。
美郷「怜くんに嫌われちゃったかもしれない」
来実「どうして?」
美郷「私……怜くんのこと突き飛ばしちゃった」
来実に数日前の出来事を話す。
来実「そっかぁ」
美郷「うん……どうしたらいいかなぁ」
来実「美郷ちゃんはどう思ってるの?」
美郷「どうって?」
来実「もっと桐嶋くんに触れたいとか、触れて欲しいとか」
そう聞かれてうーんと考える美郷。
美郷(怜くんに触れられると緊張する。胸のドキドキが止まらなくなる……でも、それが好きだった)
美郷「うん、触れて欲しい……と思う」
美郷がそう言うと、なぜか来実がふふっと笑う。
来実「大好きなんだね、桐嶋くんのこと」
美郷「……っ」
来実「美郷ちゃん、かーわいーっ!」
美郷は来実にギューッと抱きしめられる。
来実「そうだ!私、いいこと思いついた!」
美郷「いいこと?」
来実「楽しみにしててっ!」
1人、ウキウキワクワクしている来実をよそに、美郷の頭はハテナでいっぱいだった。
○学校・教室(朝)
怜とはそのまま微妙な距離感の日々が続き───
あっという間に学校祭がやってきた。
校内はガヤガヤとしている。
年に一度の学校祭にみんながテンションを上げていた。
美郷は衣装係が用意してくれた衣装に着替える。
美郷「ねぇ、ちょっと短すぎない?」
来実「そう?」
美郷たちのクラスは不思議な国のアリスをモチーフとするカフェをやるのだが、美郷に用意されたアリスの衣装の丈が思っていたよりも短い。
来実「これも作戦のうちよ」
美郷「作戦……?」
来実「名付けて、“嫉妬させちゃえ大作戦!”」
美郷「……?」
来実「まぁ、見てなさいって」
来実は不敵な笑みを浮かべる。
美郷はそれが何を指すのかわからず、ずっと頭にハテナを浮かべていた。
予定通り学校祭が始まった。
それと同時にお客さんが教室へとやって来る。
美郷と来実は担当が前半だったため、お店に立っている。
美郷「いらっしゃいませ、アリスカフェへようこそ!」
男子生徒1「え、めっちゃ可愛いね」
美郷「へ?」
男子生徒2「俺たちと一緒に写真撮ってよ」
美郷はそう言われて迷う。
美郷(写真くらいなら……いっか)
美郷はそう判断し、男子生徒たちと一緒に写真を撮る。
その場面を同じく前半組担当だった怜が見ていた。
その後も美郷は男子生徒から声をかけられることが多く、その度に美郷が対応していた。
アリスカフェは評判もよく、お客さんが絶えずやってきて、大盛況だった。
そんなこともあり、あっという間に後半組と交代の時間がやってきた。
来実「お疲れ様、美郷ちゃん」
美郷「来実ちゃんもお疲れ」
来実「美郷ちゃん、大人気だったね」
美郷「うーん、何故か指名されることも多くって」
来実「それは美郷ちゃんが可愛いからよ」
美郷「そんなことないよ、来実ちゃんのほうが衣装似合ってるし」
来実「これだから無自覚な人は罪なのよ」
美郷「……?」
美郷と来実が話しているところに怜がやってくる。
怜「ちょっと来いよ、美郷」
美郷「えっ、怜くんっ!?」
怜が美郷の腕を引いて連れ出す。
その様子を見ていた来実は、満面の笑みでふたりを見送っていた。
美郷「怜くん!どこに行くの?」
怜「黙ってついてこい」
怜はそう言うだけで何も教えてくれない。
○学校・空き教室(昼)
怜は人気のいないところまでやってきて、空き教室に美郷を連れ込み、壁ドンをする。
そして、じっと美郷を見つめる。
美郷「れ、怜くんっ?」
ついさっき、美郷の部屋の窓の工事が終わったと先生から連絡があった。
美郷「部屋の工事が終わったみたい」
職員室へ呼び出しがあったため、今日は帰りがバラバラだった。
その帰り道その足で怜の部屋へと向かい、お別れの挨拶をする。
怜「そっか、良かったな」
やっぱり怜はあの日から対応が素っ気ない。
美郷と少し距離を取ろうとしているのを美郷自身も感じていた。
美郷「私、部屋戻るね」
怜「あぁ」
美郷が荷物をまとめて立ち上がる。
少し前の怜なら後ろからギュッと抱きしめてくれたはずなのに、少し離れたところから私をじっと見るだけだ。
怜「じゃあな」
美郷「うん、またね」
結局、美郷が部屋を出るまで、一度も怜は美郷に触れなかった。
○学生寮・来実の部屋
工事の終わった自室に荷物を置き、その足で来実の部屋に突撃する。
部屋を何度もノックすると、慌てて来実が部屋から出てきた。
美郷「どうしよう、来実ちゃーん」
美郷は来実に泣きついた。
怜を突き飛ばしてしまったあの日から、怜は美郷に近づいてこない。
どこかずっと距離を取っている。
来実「どうしたの、美郷ちゃん」
泣きついてくる美郷に驚きながらも受け止め、背中をさする来実。
美郷「怜くんに嫌われちゃったかもしれない」
来実「どうして?」
美郷「私……怜くんのこと突き飛ばしちゃった」
来実に数日前の出来事を話す。
来実「そっかぁ」
美郷「うん……どうしたらいいかなぁ」
来実「美郷ちゃんはどう思ってるの?」
美郷「どうって?」
来実「もっと桐嶋くんに触れたいとか、触れて欲しいとか」
そう聞かれてうーんと考える美郷。
美郷(怜くんに触れられると緊張する。胸のドキドキが止まらなくなる……でも、それが好きだった)
美郷「うん、触れて欲しい……と思う」
美郷がそう言うと、なぜか来実がふふっと笑う。
来実「大好きなんだね、桐嶋くんのこと」
美郷「……っ」
来実「美郷ちゃん、かーわいーっ!」
美郷は来実にギューッと抱きしめられる。
来実「そうだ!私、いいこと思いついた!」
美郷「いいこと?」
来実「楽しみにしててっ!」
1人、ウキウキワクワクしている来実をよそに、美郷の頭はハテナでいっぱいだった。
○学校・教室(朝)
怜とはそのまま微妙な距離感の日々が続き───
あっという間に学校祭がやってきた。
校内はガヤガヤとしている。
年に一度の学校祭にみんながテンションを上げていた。
美郷は衣装係が用意してくれた衣装に着替える。
美郷「ねぇ、ちょっと短すぎない?」
来実「そう?」
美郷たちのクラスは不思議な国のアリスをモチーフとするカフェをやるのだが、美郷に用意されたアリスの衣装の丈が思っていたよりも短い。
来実「これも作戦のうちよ」
美郷「作戦……?」
来実「名付けて、“嫉妬させちゃえ大作戦!”」
美郷「……?」
来実「まぁ、見てなさいって」
来実は不敵な笑みを浮かべる。
美郷はそれが何を指すのかわからず、ずっと頭にハテナを浮かべていた。
予定通り学校祭が始まった。
それと同時にお客さんが教室へとやって来る。
美郷と来実は担当が前半だったため、お店に立っている。
美郷「いらっしゃいませ、アリスカフェへようこそ!」
男子生徒1「え、めっちゃ可愛いね」
美郷「へ?」
男子生徒2「俺たちと一緒に写真撮ってよ」
美郷はそう言われて迷う。
美郷(写真くらいなら……いっか)
美郷はそう判断し、男子生徒たちと一緒に写真を撮る。
その場面を同じく前半組担当だった怜が見ていた。
その後も美郷は男子生徒から声をかけられることが多く、その度に美郷が対応していた。
アリスカフェは評判もよく、お客さんが絶えずやってきて、大盛況だった。
そんなこともあり、あっという間に後半組と交代の時間がやってきた。
来実「お疲れ様、美郷ちゃん」
美郷「来実ちゃんもお疲れ」
来実「美郷ちゃん、大人気だったね」
美郷「うーん、何故か指名されることも多くって」
来実「それは美郷ちゃんが可愛いからよ」
美郷「そんなことないよ、来実ちゃんのほうが衣装似合ってるし」
来実「これだから無自覚な人は罪なのよ」
美郷「……?」
美郷と来実が話しているところに怜がやってくる。
怜「ちょっと来いよ、美郷」
美郷「えっ、怜くんっ!?」
怜が美郷の腕を引いて連れ出す。
その様子を見ていた来実は、満面の笑みでふたりを見送っていた。
美郷「怜くん!どこに行くの?」
怜「黙ってついてこい」
怜はそう言うだけで何も教えてくれない。
○学校・空き教室(昼)
怜は人気のいないところまでやってきて、空き教室に美郷を連れ込み、壁ドンをする。
そして、じっと美郷を見つめる。
美郷「れ、怜くんっ?」