バニラな恋に恋焦がれて
おあずけのキス
○学校・廊下(昼)
昼休み。
美郷は来実と一緒に食堂へと向かう。
来実「モテる女は大変だね〜」
美郷「来実ちゃんだって可愛いからモテるでしょ?私の知らない間に告白されてそう」
来実「ないないない!美郷ちゃんのモテ具合には誰も叶わないよ」
美郷(私は高校デビューがちょっと上手くいっちゃっただけ。メイクの魔法って本当にすごい。こんなに人生変えちゃうんだもん)
○食堂(昼)
来実「あっ、今日のメニューオムカレーだって」
美郷「やったー!嬉しい」
美郷にとってオムライスは大好物。
それに絶対美味しいカレーのコンビネーションなんて最高すぎる。
来実「いっただきまーす」
美郷「いただきます」
広い食堂の椅子に座ってオムカレーを口にする。
美郷「んー、美味しい」
来実「やっぱりここの食堂のご飯っていつも美味しいよね!この学校に来てよかったー!」
美郷(それは私も同感。ここのご飯は本当に美味しすぎる。美味しすぎて太ってしまわないか心配なくらい)
オムカレーを口に運んでいると、視界の端に怜の姿が見えた。
美郷(あっ)
友達の加賀 駿介と一緒にいる怜。
あの2人は中学の頃から仲良しらしい。
美郷(友達なら知ってるのかな……あんなに爽やかな王子様のような人なのに告白が面倒くさいから付き合おうなんて言っちゃう桐嶋くんの裏の顔)
怜が駿介と何かを話していて笑っている。
その怜の自然な笑顔を見て、美郷はドキッとする。
美郷「……っ」
朝教室で名前を呼ばれたことを思い出す。
その時も今も、なんで胸がドキッとするんだろう。
来実「あっ、美郷、桐嶋くんのこと見てたでしょ?本当は本当に好きだったとか」
来実が美郷を見てクスリと笑う。
美郷「ち、違うよ!姿見えたからちょっと気になっただけ」
来実「そうかなぁ?私の予想通り本当に好きになっちゃう日も来ちゃうかもよ?」
美郷「ないよ、きっと」
美郷(あんな強引な桐嶋くんを好きになるなんて……私のタイプは少女漫画に出てくるヒーローのような優しい人が好きなんだから。桐嶋くんとは真逆な人。)
もう一度だけ怜のことをチラッと見てから、残りのオムカレーを綺麗に平らげた。
○学校・教室(放課後)
ホームルームが終わって、みんなが帰る支度を始める。
美郷(あ、そうだ。今日掃除当番じゃん)
教室掃除当番だったことを思い出して、肩を落とす。
来実も同じ班で同じ当番なことが救い。
来実「美郷ちゃん、はい、ホウキ」
美郷「ありがとう、来実ちゃん」
教室の端から床をはき始める。
すると、視界に人影が映りこんだ。
怜「今日掃除当番?」
美郷「桐嶋くん……そうなんだ」
美郷(そういえば一緒に帰る約束してたんだっけ)
今日の朝、そんな約束をしていたことを思い出す。
怜「じゃあ待ってる」
怜はそう言って行ってしまった。
美郷(告白受けるのは面倒くさいって言うのに、そういうところはマメなんだ)
怜の意外な一面。
いや、一見王子様キャラだから、そうしているだけだろうか。
一緒に帰るのも付き合ってるのがウソだってバレないようにするためだっけ。
美郷(桐嶋くんらしいかも)
はぁとため息をついて掃除に戻る。
掃除が終わって、来実と廊下へ出ると、ちゃんとそこで怜は待っていた。
○学校・廊下(放課後)
美郷「お待たせ、桐嶋くん」
怜「おう」
来実「美郷ちゃん、桐嶋くんまた明日!」
美郷「う、うん、また明日!」
来実が行ってしまい、怜と2人きりになる。
2人きりは気まずい。
何を話したらいいかわからない。
怜「帰るぞ」
美郷「うん」
怜の少し後ろをついていく。
怜「なんで隣歩かねーの?」
美郷「えっ、隣……」
怜「ん」
怜に手を差し出される。
美郷「何?」
怜「手、繋いでた方が恋人っぽいだろ」
美郷「……っ」
無理矢理手を繋がれ、大きな手に包まれてドキドキする。
美郷(フリをするってここまでするの!?)
○学校・階段(放課後)
手は繋がれたまま階段を降りる。
女子生徒が階段を駆け上がってきた。
同時に体がぶつかってしまい、美郷はバランスを崩す。
美郷「きゃっ」
女子生徒「ごめんなさいっ!」
よほど急いでいたのか、女子生徒は一言謝って行ってしまった。
美郷は怜に体を支えられ、助けられる。
怜「大丈夫か?」
美郷「っ、大丈夫……ありがと」
美郷(顔、近いっ……)
まるで社交ダンスのように反った体を腰に回された腕で支えられ、顔と顔が近くなる。
美郷の顔は一気に赤く染った。
怜「……っ、早く立てよ」
美郷「う、うん、ごめんっ」
怜にグイッと手を引かれて体を起こす美郷。
2人の間に微妙な空気が流れる。
美郷(どうしよう。胸のドキドキが止まらない。顔が近すぎてキスされるかと思った……)
○学校・空き教室(放課後)
怜「ちょっと来て」
美郷「うわっ!?」
突然腕を引かれて、空き教室に連れてこられる。
怜に体を後ろから包まれ、口元に人差し指が当てられた。
美郷(ち、近いよっ)
怜「静かにして」
女子生徒「怜くーん?いないの?おっかしいな、声がしたと思ったんだけど……」
そんな声と共にパタパタと数人が目の前を歩いていく音がした。
しばらくしてから美郷は解放される。
怜「いつも追っかけられるんだよ、アイツらに。しばらくしたら出よう」
空き教室に2人きり。
静かな教室内に、胸の鼓動が大きく響く。
怜「なぁ、美郷ってさ……」
地べたに座り込んだまま、ドアを背にして壁ドンされる。
怜「モテてる割に男慣れ全然してないだろ」
美郷「なん、で……」
美郷(……バレた)
怜「バレバレなんだよ。こんなことされるだけで顔赤らめて」
さっきの人差し指で、唇をスーッとなぞられる。
怜「そういうの見るといじめたくなるんだよね」
美郷「……っ!」
怜の顔が近づいてきて、美郷はギュッと目をつぶる。
目をつぶったものの、唇の感触はない。
ゆっくりまぶたを開けると、クククッと笑う怜がいた。
怜「面白いな、お前。いじめがいがある」
美郷「……なっ」
怜「簡単に奪われるようなことするなよ」
そう言い残して、怜は教室を後にした。
美郷(びっくりした……本当にキスされるかと思った……)
どうやら私は桐嶋 怜に気に入られてしまったらしい。
昼休み。
美郷は来実と一緒に食堂へと向かう。
来実「モテる女は大変だね〜」
美郷「来実ちゃんだって可愛いからモテるでしょ?私の知らない間に告白されてそう」
来実「ないないない!美郷ちゃんのモテ具合には誰も叶わないよ」
美郷(私は高校デビューがちょっと上手くいっちゃっただけ。メイクの魔法って本当にすごい。こんなに人生変えちゃうんだもん)
○食堂(昼)
来実「あっ、今日のメニューオムカレーだって」
美郷「やったー!嬉しい」
美郷にとってオムライスは大好物。
それに絶対美味しいカレーのコンビネーションなんて最高すぎる。
来実「いっただきまーす」
美郷「いただきます」
広い食堂の椅子に座ってオムカレーを口にする。
美郷「んー、美味しい」
来実「やっぱりここの食堂のご飯っていつも美味しいよね!この学校に来てよかったー!」
美郷(それは私も同感。ここのご飯は本当に美味しすぎる。美味しすぎて太ってしまわないか心配なくらい)
オムカレーを口に運んでいると、視界の端に怜の姿が見えた。
美郷(あっ)
友達の加賀 駿介と一緒にいる怜。
あの2人は中学の頃から仲良しらしい。
美郷(友達なら知ってるのかな……あんなに爽やかな王子様のような人なのに告白が面倒くさいから付き合おうなんて言っちゃう桐嶋くんの裏の顔)
怜が駿介と何かを話していて笑っている。
その怜の自然な笑顔を見て、美郷はドキッとする。
美郷「……っ」
朝教室で名前を呼ばれたことを思い出す。
その時も今も、なんで胸がドキッとするんだろう。
来実「あっ、美郷、桐嶋くんのこと見てたでしょ?本当は本当に好きだったとか」
来実が美郷を見てクスリと笑う。
美郷「ち、違うよ!姿見えたからちょっと気になっただけ」
来実「そうかなぁ?私の予想通り本当に好きになっちゃう日も来ちゃうかもよ?」
美郷「ないよ、きっと」
美郷(あんな強引な桐嶋くんを好きになるなんて……私のタイプは少女漫画に出てくるヒーローのような優しい人が好きなんだから。桐嶋くんとは真逆な人。)
もう一度だけ怜のことをチラッと見てから、残りのオムカレーを綺麗に平らげた。
○学校・教室(放課後)
ホームルームが終わって、みんなが帰る支度を始める。
美郷(あ、そうだ。今日掃除当番じゃん)
教室掃除当番だったことを思い出して、肩を落とす。
来実も同じ班で同じ当番なことが救い。
来実「美郷ちゃん、はい、ホウキ」
美郷「ありがとう、来実ちゃん」
教室の端から床をはき始める。
すると、視界に人影が映りこんだ。
怜「今日掃除当番?」
美郷「桐嶋くん……そうなんだ」
美郷(そういえば一緒に帰る約束してたんだっけ)
今日の朝、そんな約束をしていたことを思い出す。
怜「じゃあ待ってる」
怜はそう言って行ってしまった。
美郷(告白受けるのは面倒くさいって言うのに、そういうところはマメなんだ)
怜の意外な一面。
いや、一見王子様キャラだから、そうしているだけだろうか。
一緒に帰るのも付き合ってるのがウソだってバレないようにするためだっけ。
美郷(桐嶋くんらしいかも)
はぁとため息をついて掃除に戻る。
掃除が終わって、来実と廊下へ出ると、ちゃんとそこで怜は待っていた。
○学校・廊下(放課後)
美郷「お待たせ、桐嶋くん」
怜「おう」
来実「美郷ちゃん、桐嶋くんまた明日!」
美郷「う、うん、また明日!」
来実が行ってしまい、怜と2人きりになる。
2人きりは気まずい。
何を話したらいいかわからない。
怜「帰るぞ」
美郷「うん」
怜の少し後ろをついていく。
怜「なんで隣歩かねーの?」
美郷「えっ、隣……」
怜「ん」
怜に手を差し出される。
美郷「何?」
怜「手、繋いでた方が恋人っぽいだろ」
美郷「……っ」
無理矢理手を繋がれ、大きな手に包まれてドキドキする。
美郷(フリをするってここまでするの!?)
○学校・階段(放課後)
手は繋がれたまま階段を降りる。
女子生徒が階段を駆け上がってきた。
同時に体がぶつかってしまい、美郷はバランスを崩す。
美郷「きゃっ」
女子生徒「ごめんなさいっ!」
よほど急いでいたのか、女子生徒は一言謝って行ってしまった。
美郷は怜に体を支えられ、助けられる。
怜「大丈夫か?」
美郷「っ、大丈夫……ありがと」
美郷(顔、近いっ……)
まるで社交ダンスのように反った体を腰に回された腕で支えられ、顔と顔が近くなる。
美郷の顔は一気に赤く染った。
怜「……っ、早く立てよ」
美郷「う、うん、ごめんっ」
怜にグイッと手を引かれて体を起こす美郷。
2人の間に微妙な空気が流れる。
美郷(どうしよう。胸のドキドキが止まらない。顔が近すぎてキスされるかと思った……)
○学校・空き教室(放課後)
怜「ちょっと来て」
美郷「うわっ!?」
突然腕を引かれて、空き教室に連れてこられる。
怜に体を後ろから包まれ、口元に人差し指が当てられた。
美郷(ち、近いよっ)
怜「静かにして」
女子生徒「怜くーん?いないの?おっかしいな、声がしたと思ったんだけど……」
そんな声と共にパタパタと数人が目の前を歩いていく音がした。
しばらくしてから美郷は解放される。
怜「いつも追っかけられるんだよ、アイツらに。しばらくしたら出よう」
空き教室に2人きり。
静かな教室内に、胸の鼓動が大きく響く。
怜「なぁ、美郷ってさ……」
地べたに座り込んだまま、ドアを背にして壁ドンされる。
怜「モテてる割に男慣れ全然してないだろ」
美郷「なん、で……」
美郷(……バレた)
怜「バレバレなんだよ。こんなことされるだけで顔赤らめて」
さっきの人差し指で、唇をスーッとなぞられる。
怜「そういうの見るといじめたくなるんだよね」
美郷「……っ!」
怜の顔が近づいてきて、美郷はギュッと目をつぶる。
目をつぶったものの、唇の感触はない。
ゆっくりまぶたを開けると、クククッと笑う怜がいた。
怜「面白いな、お前。いじめがいがある」
美郷「……なっ」
怜「簡単に奪われるようなことするなよ」
そう言い残して、怜は教室を後にした。
美郷(びっくりした……本当にキスされるかと思った……)
どうやら私は桐嶋 怜に気に入られてしまったらしい。