Filigran.


あぁ、何だか辛くなってきた。


愛を求めるほどこれが愛だとは思えなくなる。





先月は俺のレーンにいた人がノアのレーンに行く。


蓮人のレーンにいた人が俺のレーンにいる。


聖生君のレーンにいた人が蓮人のレーンに…。



それの繰り返しだ。


愛なんて短気なんだ。


そうやって腐りかけた時だった。





『弓弦君のブログの文章の言葉遣いが、凄く綺麗だと思ってて!


あと優しすぎるからもうちょっと弱音も吐いて良いと思うし、


あの、何があってもずっと好きなので!』





緊張した顔で、なのに俺を労わるみたいな表情で


その瞳を見つめられることが心から嬉しいと思った。




もうアイドルという仕事を諦めていたのに、


あの子だけは誰のレーンにも行かせたくないと思った。





次の握手会には来てくれるだろうか。


俺のブログが好きって言ってたから、


もっと分量を増やして推敲を重ねて書かなきゃ。




あの子が俺から離れられないくらい、魅力的に。



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