Filigran.
私のあたたかい世界


「雪乃!見て見て、アフタヌーンティーだよ!」




連れてこられた美花の実家は、想像よりも大豪邸だった。


ゲストルームに通してもらうと、


そこはスノーホワイトで統一された高級感あふれる一室だった。


床にも白の大理石が敷かれていて、そのマーブル模様が高級感を増している。


奥の壁一面を飾る窓も、この部屋に馴染むバルーンボックスシェードで夜闇を遮っていた。




ピアノやアンティーク調の壁掛け時計をはじめとして素敵な要素は沢山あるけれど、



真ん中に置かれている白く丸いテーブルとそこに置かれる2つの椅子は、



美花がよいしょよいしょって運んできてくれたものじゃないかなと思って愛しくなった。





美花はもうそこにいて、テーブルの上に置かれたケーキスタンドを必死に指さしている。




聞いていると、何やら今日のメンバーを紹介しているらしい。



「あのね、この一番下のサンドウィッチはお手伝いさんと一緒に美花が作った!」


「2段目のスコーンは大好きなお店のやつ!いつか雪乃に食べてもらいたかったの」


「一番上のペストリー…ケーキはまた違うお店。美花も初めて食べるから、一緒に感想言い合えるね!」



どうでしょうか、というやり切った表情でこちらを見てくるから、



「…うん、ありがとう。全部美味しそう」と言って自然と笑顔がこぼれていた。



さっき不思議に思った『お手伝いさん』というのは本当にいたみたいで、


「お嬢様がご学友をつれていらっしゃるなんて…」


と感極まりながら素敵なティーカップに紅茶を注いでくれた。



「ありがとうございます。美味しくいただきます」


と返すと、更に感極まり度を増して


「素直すぎるあまりなかなか溶け込めなかったお嬢様が、こんなに素敵なご学友に恵まれて…」


と言い出すので、美花が


「もう!鈴木さんは出ていって!用意手伝ってくれてありがとう!」


と言って、彼女の背をグイグイ押して部屋から押し出していた。


確かにこんなお嬢様がいたら可愛くて構い倒したくなるよね…。

< 82 / 92 >

この作品をシェア

pagetop