大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 レオリージャは白毛のライオン型の魔物で、成体は大人の人間が跨って乗れるほどの大きさだが幼体は猫のような見た目をしている。
 そんな可愛らしいレオリージャが、にゃおにゃお鳴きながら気を失っている若い男にネコパンチを浴びせていた。

 大層な武器を持って体つきも筋肉の塊みたいなのに、まさかこんな可愛い子にボロ負けしたの……?
 リリアナは笑いをこらえながらレオリージャの子を抱き上げた。
「もうそれぐらいにしてあげたら?」
「にゃっ?」
 つぶらな瞳でリリアナを見上げたレオリージャは、鼻をヒクヒクさせてリリアナの匂いを嗅ぎ始める。

「魔牛の匂いがするのかもな。腹減ってるなら、おまえも魔牛の肉食うか? そいつよりも美味いぞ」
「にゃぁ♡」
 レオリージャはハリスの誘いを即答で了承した。

 レオリージャは知能レベルと順応力が高いことで知られている。
 人間の言葉をある程度理解しているようだし、敵意よりも食い気を優先するしたたかさも持ち合わせている。もちろんすぐに人に懐いてしまったのは、幼体だからという理由も大きいだろう。

 あまり草の生えていない調理しやすそうな場所を見つけると、リリアナは「セーフティカード」を取り出した。
 これもまた魔道具のひとつだ。カードを置いた場所を中心に結界が展開され、使用者が招き入れた者以外は入れない仕組みになっている。

 ガーデンで獲得した食材はマジックポーチに保管している間は鮮度が保たれる。ガーデンから出る際にギルドの精算所でその日に得た戦利品一通りが自動的に回収・清算される仕組みになっているため、食べずに保管したままにしておくことができない。
 清算前にポーチから取り出して外に持ち出した魔物の肉や薬草は味や効果の劣化が激しく、ガーデンの外で商品として流通させるには乾燥させて加工品にするしかない。

 つまり新鮮な食材を使ったガーデン料理を食べるためには、ガーデンで魔物を倒して捌き、それを美味しく調理できる調理士が不可欠であり、作った料理はガーデン内で食べなければならない。

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