大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 ガーデンは、外と同じ時間の刻み方で朝と夜を規則的に繰り返している。
 夜の(とばり)が下りようとしている時間帯に草原で肉を焼けば、夜行性で肉食の魔物たちがウヨウヨやってくるだろう。それではくつろぎながら食事をするどころではなくなるため、ここで役立つのがセーフティカードというわけだ。
 難点はこのカードが半永久的に使えるわけではなく、1回の効果持続時間が2時間で、3回使い切りということだろうか。
 
 こういった魔道具を上手く利用することが、ガーデンでの冒険を快適に進める秘訣のひとつでもある。
 魔道具はガーデンの外の街にある「レオナルド魔道具商会」で販売されている。
 その名の通り、この店のオーナー兼魔道具の制作者はガーデンの創始者でもある伝説の魔法使いレオナルド・ジュリアーニだ。
 魔道具商会で売られている魔道具は、ガーデンでのみ効果を発揮する。
 もしもそれをガーデンの外で無理に使おうとしたり、ガーデン内外に関わらず悪用しようとすればその者に呪いがふりかかるという取扱いに注意の必要な代物でもある。
 魔道具によって値段はピンキリで、中には命を落とした冒険者を蘇生させる魔道具もあるという噂だが、真相は定かでない。

 倒れていた若い男が首から下げている冒険者カードには「テオ」という名前が記されている。
 ハリスがテオを担いで運びリリアナが用意したシートの上に寝かせると、その横に斧を置いた。
 次にハリスは魔導コンロにフライパンをセットして魔牛の肉を焼き始め、レオリージャの子供には生肉を小さく切って与えた。
 リリアナはテオがこの幼いレオリージャに負けたのだと本気で思い込んでいたが、腑に落ちないことがある。
 ガーデン管理ギルドの受付はベテラン揃いで、幼体のレオリージャに負けるような初心者を単身でこのエリアに転送させるような無謀なことはしないはずだ。
 手違いでもあったんだろうか。
 とにかく目を覚ましたら魔牛のステーキを食べさせよう、それが最も手っ取り早く回復できる方法だ。
 
「まずは自分の腹ごしらえよっ!」
 リリアナは張り切ってハリスが焼く絶品の魔牛ステーキを食べ続けたのだった。
 
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